公開情報の項目
組織名
- 日本銀行
公開日
- 2016年12月26日
公開記事
公開記事の問題設定
- 円高ドル安方向に動いた理由は?
- ドル高円安方向に推移する理由は?
- ターム物金利がマイナス圏で推移する理由は?
公開記事の概要
為替市場をみると、円の対ドル相場が、前回会合直後には幾分円高ドル安方向に動きたが、米国での年内利上げ観測が強まってから、ドル高円安方向に推移している。その元で、10年物国債金利は概ねゼロ%近辺で安定的に推移し、日本国債のイールドカーブは前回会合とほぼ同様の形状となっている。
ターム物金利を見ると、短国レート(3カ月物)は-0.4%から-0.3%程度で推移している。無担保コールレート(オーバーナイト物)は、−0.07%から−0.02%の範囲で推移している。金融・為替市場動向、短期金融市場では、金利は翌日物、ターム物とも、マイナス圏で推移している。
公開記事のポイント(1)
「為替市場をみると、円の対ドル相場は、前回会合直後に幾分円高ドル安方向の動きとなった後、米国における年内利上げ観測の強まりを受けて、円安ドル高方向に推移している。」
日本銀行 (2016) 10月31日、11月1日開催分 [PDF 225KB]より引用 (閲覧日時:2024-07-14 01:18:15)
公開記事のポイント(2)
「そのもとで、10年物国債金利は概ねゼロ%近傍のマイナス領域で安定的に推移し、日本国債のイールドカーブは前回会合時と概ね同様の形状となっている。」
日本銀行 (2016) 10月31日、11月1日開催分 [PDF 225KB]より引用 (閲覧日時:2024-07-14 01:18:15)
公開記事のポイント(3)
「ターム物金利をみると、短国レート(3か月物)は、−0.4〜−0.3%程度で推移している。」
日本銀行 (2016) 10月31日、11月1日開催分 [PDF 225KB]より引用 (閲覧日時:2024-07-14 01:18:15)
公開記事の解説
上述した問題設定に対して、解決策を分析してみましょう。
問題設定(1):円高ドル安方向に動いた理由は?
為替市場で円高ドル安に向かった理由は、アメリカでの年内利上げ観測が強まったことによると考えられます。この観測により、ドルに対する需要が高まり、ドル高円安が進んだ可能性があります。また、日本では金利がゼロ%近辺で安定的に推移しており、日本国債のイールドカーブも前回会合とほぼ同様の形状となっています。これは、日本では量的緩和政策が継続されているため、金利上昇の要因となる金融政策の変更が見込まれていないことが影響していると考えられます。一方で、ターム物金利は低下傾向にあります。これは、日本国債の需要が相対的に低く、リスクオフの動きが続いているためと考えられます。金融・為替市場動向、短期金融市場では、金利は翌日物、ターム物とも、マイナス圏で推移しています。これは、日本銀行がマイナス金利政策を継続しているためであり、長期的には景気回復を通じて金利が上昇する可能性があると考えられます。
問題設定(2):ドル高円安方向に推移する理由は?
これらの事実から推測すると、日本経済がマイナス金利政策の継続によって、経済が極めて低調であり、日本の経済成長に対する期待が低い状態にあるということが原因として考えられます。それに対して、米国経済はリセッションのリスクもあるとはいえ、経済成長期待が比較的高い状態にあるため、金利の上昇期待が高く、ドル高円安方向に推移していると考えられます。それによって、日本は外貨準備高の減少など、厳しい経済状況に置かれる可能性が高くなります。
問題設定(3):ターム物金利がマイナス圏で推移する理由は?
日本のターム物金利がマイナス圏で推移する理由は、日本銀行がマイナス金利政策を導入したことによるものです。この政策は、銀行が資金調達する場合には金利がゼロになるように設定しています。つまり、銀行は日本銀行に金利を支払う必要がなく、逆に日本銀行から金利を受け取ることができるのです。この政策によって、銀行が資金を調達する場合の金利が下がり、それが銀行貸し出し金利の低下や、住宅ローン金利の低下につながっています。
公開記事と関連するトレンドワード
トレンドワード(1):「短期」、「金融」
- 上図は、過去から現在までの日本銀行の公開記事で、「短期」、「金融」の組み合わせが発生する頻度を可視化した折れ線グラフです。
- 横軸が年月、縦軸が「短期」、「金融」の発生頻度を0-1の範囲で規格化した値になります。
主要なトレンド転換として、1999年5月、1999年6月、1999年12月にマイナス方向のトレンド転換を示しています。一方、1999年3月にプラス方向のトレンド転換を示しています。特に、今回の公開記事は1999年03月のトレンド転換と関連している模様です。
トレンドワード(2):「圏内」、「動き」
- 上図は、過去から現在までの日本銀行の公開記事で、「圏内」、「動き」の組み合わせが発生する頻度を可視化した折れ線グラフです。
- 横軸が年月、縦軸が「圏内」、「動き」の発生頻度を0-1の範囲で規格化した値になります。
主要なトレンド転換として、2012年6月、2016年2月、2017年1月にマイナス方向のトレンド転換を示しています。一方、2011年11月、2015年10月にプラス方向のトレンド転換を示しています。特に、今回の公開記事は2015年10月のトレンド転換と関連している模様です。
トレンドワード(3):「金融」、「市場」
- 上図は、過去から現在までの日本銀行の公開記事で、「金融」、「市場」の組み合わせが発生する頻度を可視化した折れ線グラフです。
- 横軸が年月、縦軸が「金融」、「市場」の発生頻度を0-1の範囲で規格化した値になります。
主要なトレンド転換として、2000年1月、2016年1月、2016年4月にマイナス方向のトレンド転換を示しています。一方、1998年9月、1998年10月、1998年12月にプラス方向のトレンド転換を示しています。特に、今回の公開記事は1998年10月のトレンド転換と関連している模様です。