公開情報の項目
組織名
- 日本銀行
公開日
- 2021年11月2日
公開記事
- 「9月21、22日開催分 」
公開記事の問題設定
- 金融・為替市場の短期金融市場では、翌日物、ターム物ともにマイナス圏での推移が続いているのは、どのような理由によるのだろうか?
- 金融市場調節方針と整合的な形状となっている日本国債務のイールドカーブとは、具体的にどのようなものだろうか?
- なぜ、短国レート(4カ月物)が概ね横ばいとなっているのだろうか?また、ターム物金利との関係はどうなっているのだろうか?
公開記事の概要
そのもとで、10年物国債金利はゼロ%程度で推移し、日本国債務のイールドカーブは金融市場調節方針と整合的な形状となっている。金融・為替市場の短期金融市場では、翌日物、ターム物ともにマイナス圏での推移が続いている。短国レート(4カ月物)は、概ね横ばいとなっているため、ターム物金利をみる。
公開記事のポイント(1)
「そのもとで、10年物国債金利はゼロ%程度で推移し、日本国債のイールドカーブは金融市場調節方針と整合的な形状となっている。」
日本銀行 (2021) 9月21、22日開催分 より引用 (閲覧日時:2024-07-15 03:49:07)
公開記事のポイント(2)
「2.金融・為替市場動向短期金融市場では、金利は、翌日物、ターム物とも、総じてマイナス圏で推移している。」
日本銀行 (2021) 9月21、22日開催分 より引用 (閲覧日時:2024-07-15 03:49:07)
公開記事のポイント(3)
「ターム物金利をみると、短国レート(3か月物)は、概ね横ばいとなっている。」
日本銀行 (2021) 9月21、22日開催分 より引用 (閲覧日時:2024-07-15 03:49:07)
公開記事の解説
上述した問題設定に対して、解決策を分析してみましょう。
問題設定(1):金融・為替市場の短期金融市場では、翌日物、ターム物ともにマイナス圏での推移が続いているのは、どのような理由によるのだろうか?
翌日物およびターム物がマイナス圏で推移している理由は、日本銀行が長期国債やETFなどを買い入れたことにより、市場に資金が過剰に供給され、マネタリーベースを拡大させていることが考えられます。この状態が続くと、市場参加者は将来的な金利の上昇を見越して、翌日物やターム物を買わなくなり、マイナス圏での推移が続くと考えられます。10年物国債金利がゼロ%程度で推移しているのは、このような市場参加者の姿勢を反映していると言えます。
また、日本国債務のイールドカーブは、金融市場調節方針と整合的な形状となっています。すなわち、長期金利は抑制されることが前提であり、これを受けて短期金利も抑制されることが見込まれます。一方で、市場参加者は将来的な金利の上昇を見越して、翌日物やターム物を買わない傾向があり、このような短期金利の低下を示す現象が生じていると考えられます。
最終的に、日本銀行の市場介入や金融市場調節方針などの影響により、金融・為替市場の短期金融市場では、翌日物およびターム物ともにマイナス圏での推移が続いていると言えます。
問題設定(2):金融市場調節方針と整合的な形状となっている日本国債務のイールドカーブとは、具体的にどのようなものだろうか?
日本国債務のイールドカーブは、10年物国債金利がゼロ%程度で推移しているにもかかわらず、短期金融市場においてターム物金利が低下傾向にあるため、金融市場調節方針と整合的な形状となっている。このため、中央銀行による金融緩和策が有効に機能しており、日本経済が引き続き減速する中でも、安定的な金融市場環境を維持していることが推測される。
問題設定(3):なぜ、短国レート(4カ月物)が概ね横ばいとなっているのだろうか?また、ターム物金利との関係はどうなっているのだろうか?
短国レートが横ばいとなっているのは、金融市場調節方針が一定であることから、ターム物金利が緩やかな変動をしているためです。つまり、中央銀行が市場に流通する資金量を調節することで、ターム物金利が安定的に推移することによって、短国レートも横ばいとなっていると考えられます。しかし、一方で翌日物、ターム物ともにマイナス圏での推移が続いており、市場全体が低金利環境下にあると言えます。10年物国債金利がゼロ%程度で推移している点から見ても、金融市場は長期的な低金利環境が続くことが予想されます。したがって、日本の金融市場は安定的な環境下にあると言えます。
公開記事と関連するトレンドワード
トレンドワード(1):「短期」、「金融」
- 上図は、過去から現在までの日本銀行の公開記事で、「短期」、「金融」の組み合わせが発生する頻度を可視化した折れ線グラフです。
- 横軸が年月、縦軸が「短期」、「金融」の発生頻度を0-1の範囲で規格化した値になります。
主要なトレンド転換として、1999年4月、1999年5月、1999年12月にマイナス方向のトレンド転換を示しています。一方、1999年3月にプラス方向のトレンド転換を示しています。特に、今回の公開記事は1999年03月のトレンド転換と関連している模様です。
トレンドワード(2):「金融」、「市場」
- 上図は、過去から現在までの日本銀行の公開記事で、「金融」、「市場」の組み合わせが発生する頻度を可視化した折れ線グラフです。
- 横軸が年月、縦軸が「金融」、「市場」の発生頻度を0-1の範囲で規格化した値になります。
主要なトレンド転換として、2000年1月、2016年1月、2016年4月にマイナス方向のトレンド転換を示しています。一方、1998年9月、1998年10月、1998年12月にプラス方向のトレンド転換を示しています。特に、今回の公開記事は1998年10月のトレンド転換と関連している模様です。
トレンドワード(3):「為替」、「市場」
- 上図は、過去から現在までの日本銀行の公開記事で、「為替」、「市場」の組み合わせが発生する頻度を可視化した折れ線グラフです。
- 横軸が年月、縦軸が「為替」、「市場」の発生頻度を0-1の範囲で規格化した値になります。
主要なトレンド転換として、2000年10月、2004年7月にマイナス方向のトレンド転換を示しています。一方、1999年11月、2004年3月にプラス方向のトレンド転換を示しています。特に、今回の公開記事は2004年03月のトレンド転換と関連している模様です。
ソーシャルメディアの主な反応
先週の金融市場では、10年物国債金利がゼロ%程度で推移し、日本国債務のイールドカーブは金融市場調節方針と整合的な形状となっているため、金融・為替市場の短期金融市場では、翌日物、ターム物ともにマイナス圏での推移が続いていると報告されています。
確かに、最近は金融市場が不安定になっているため、短期金融市場でも動きが出ていると思います。
日本国債務のイールドカーブが金融市場調節方針と整合的な形状になっているということは、市場参加者への情報提供もしっかりしているということだと思います。
各々の市場におけるプレゼンスが大きいことは重要ですね。取引高、取引平均残高<現先等の平均残高>、取引先数、市場参加者への情報提供の4要素を勘案することも必要です。
そうですね。それぞれの市場でどのような取引が行われているかによって、市場の安定性や透明性が確保されるかどうかが決まってくると思います。