【日本銀行(日銀)】金融政策決定会合(2022年6月17日開催分)の概要と解説

金融政策決定会合

公開情報の項目

組織名

  • 日本銀行

公開日

  • 2022年7月26日

公開記事

公開記事の問題設定

  1. なぜ債券先物市場で強い売り圧力がみられるのか?
  2. 連続指値オペがどのような目的で行われたのか?
  3. 総じてマイナス圏で推移する翌日物、ターム物の金利についてどう評価するか?

公開記事の概要

債券先物市場で強い売り圧力がみられる中、チーペスト銘柄の残存期間である7年ゾーンを対象とする連続指値オペも実施した。そのもとで、10年物国債金利はゼロパーセント程度で推移しており、日本国債の利回り曲線は金融市場の政策と合致する形状を示している。翌日物、ターム物の金利は、総じてマイナス圏で推移している。

公開記事のポイント(1)

「更に、債券先物市場で強い売り圧力がみられる中、チーペスト銘柄の残存期間である7年ゾーンを対象とする連続指値オペも実施した。」

日本銀行 (2022) 6月16、17日開催分 より引用 (閲覧日時:2024-07-15 06:34:25)

公開記事のポイント(2)

「そのもとで、10年物国債金利はゼロ%程度で推移し、日本国債のイールドカーブは金融市場調節方針と整合的な形状となっている。」

日本銀行 (2022) 6月16、17日開催分 より引用 (閲覧日時:2024-07-15 06:34:25)

公開記事のポイント(3)

「2.金融・為替市場動向短期金融市場では、金利は、翌日物、ターム物とも、総じてマイナス圏で推移している。」

日本銀行 (2022) 6月16、17日開催分 より引用 (閲覧日時:2024-07-15 06:34:25)

公開記事の解説

上述した問題設定に対して、解決策を分析してみましょう。

問題設定(1):なぜ債券先物市場で強い売り圧力がみられるのか?

日本での低金利環境が続いているため、投資家は収益を確保するために、債券先物市場において強い売り圧力をかけています。これに対して、日本銀行は金融政策の一環として、残存期間が7年の国債の連続指値オペを実施することで、市場による売り圧力を抑制し、利回り曲線を安定させることを目指しています。この結果、10年物国債金利はゼロパーセント程度で推移しており、日本国債の利回り曲線は金融市場の政策と合致する形状を示しています。一方で、翌日物、ターム物の金利は、総じてマイナス圏で推移しており、投資家のリスク回避姿勢が強まっています。このように、日本の低金利環境はまだ続いており、債券先物市場においては引き続き強い売り圧力がかかる見込みです。

問題設定(2):連続指値オペがどのような目的で行われたのか?

連続指値オペとは、公開市場操作(オペレーション)の一種で、主に債券市場において、一定の価格帯で取引を行うための指値注文を連続的に行うことを指します。債券市場では、国債などの長期債券を中心に、利回り低下の動きが進み、売り圧力が強まっていました。そこで、強い売り圧力が発生しているチーペスト銘柄の7年ゾーンに対して、連続指値オペを行い、売り圧力を抑えることを目的としました。この連続指値オペにより、債券価格の下落傾向が抑えられ、金利水準も安定的に推移しました。また、翌日物やターム物の金利も、マイナス圏で推移し、この影響を受けて金融機関などの企業の資金運用も難しくなっていると考えられます。

問題設定(3):総じてマイナス圏で推移する翌日物、ターム物の金利についてどう評価するか?

翌日物、ターム物の金利が総じてマイナス圏で推移する状況は、債券市場の需要が低調であることを示しています。一般的に、低金利環境は景気の低迷や企業の資金調達コストの低減につながるため、投資家や企業が金利の低い債券に投資する傾向が強くなります。しかし、現在はCOVID-19の影響で景気の急落が続いており、債券市場においては流動性を高めるために国債の買い手が不足しています。このため、マイナス圏で推移する金利が債券市場における需給バランスの不安定さを示しています。政策金利がゼロに近い状況であることも考慮すると、今後の経済の回復に伴い、金利が上昇する可能性があります。

公開記事と関連するトレンドワード

トレンドワード(1):「短期」、「金融」

  • 上図は、過去から現在までの日本銀行の公開記事で、「短期」、「金融」の組み合わせが発生する頻度を可視化した折れ線グラフです。
  • 横軸が年月、縦軸が「短期」、「金融」の発生頻度を0-1の範囲で規格化した値になります。

主要なトレンド転換として、1999年6月、1999年7月、1999年12月にマイナス方向のトレンド転換を示しています。一方、1999年3月にプラス方向のトレンド転換を示しています。特に、今回の公開記事は1999年03月のトレンド転換と関連している模様です。

トレンドワード(2):「海外」、「経済」

  • 上図は、過去から現在までの日本銀行の公開記事で、「海外」、「経済」の組み合わせが発生する頻度を可視化した折れ線グラフです。
  • 横軸が年月、縦軸が「海外」、「経済」の発生頻度を0-1の範囲で規格化した値になります。

主要なトレンド転換として、2013年6月、2013年12月、2020年2月にマイナス方向のトレンド転換を示しています。一方、2011年10月、2011年11月、2019年5月にプラス方向のトレンド転換を示しています。特に、今回の公開記事は2019年05月のトレンド転換と関連している模様です。

トレンドワード(3):「金融」、「市場」

  • 上図は、過去から現在までの日本銀行の公開記事で、「金融」、「市場」の組み合わせが発生する頻度を可視化した折れ線グラフです。
  • 横軸が年月、縦軸が「金融」、「市場」の発生頻度を0-1の範囲で規格化した値になります。

主要なトレンド転換として、2000年1月、2016年1月、2016年4月にマイナス方向のトレンド転換を示しています。一方、1998年9月、1998年10月、1998年12月にプラス方向のトレンド転換を示しています。特に、今回の公開記事は1998年10月のトレンド転換と関連している模様です。

ソーシャルメディアの主な反応

債券先物市場で強い売り圧力がみられる中、チーペスト銘柄の残存期間である7年ゾーンを対象とする連続指値オペも実施した。そのもとで、10年物国債金利はゼロパーセント程度で推移しており、日本国債の利回り曲線は金融市場の政策と合致する形状を示している。翌日物、ターム物の金利は、総じてマイナス圏で推移している」というニュースが発表されました。

私は、日本国債市場について、債券先物市場で強い売り圧力がみられることや、チーペスト銘柄の残存期間である7年ゾーンを対象とする連続指値オペが行われたことは、まだ日本国債市場が不安定であることを示しているように思います。

その反面、10年物国債金利がゼロパーセント程度で推移していることや、日本国債の利回り曲線が金融市場の政策と合致する形状を示していることは、日本国債市場の安定感を感じることができると思います。

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