公開情報の項目
組織名
- 日本銀行
公開日
- 1999年11月1日
公開記事
- 「9月21日開催分 」
公開記事の問題設定
- 日本銀行が、銀行の普通社債借り入れの適格担保・オペ対象とすることについて再考すべき理由は何か。
- 銀行が取引先金融機関の債務を原則として日本銀行の適格担保・オペ対象としない扱いとすることは妥当か。
- 資金余剰感の浸透により、市場で殆どコストがかからない資金を調達できるという安心感が定着することによる市場への影響は何か。
公開記事の概要
銀行による普通社債の発行が見込まれ、金融機関の資金調達手段の多様化が進展しているため、今このタイミングで、銀行が普通社の借り入れ全般に対して日本銀行の適格担保・オペ対象とすべきか否かについて再度検討を行う必要がある。これらの点を考慮すれば、この際、取引先金融機関の債務は、原則として日本銀行の適格担保・オペ対象としない扱いとすることが妥当と考えられる。
当分の間、社債等保証としての手形買入には、保証としてのみ受け入れる。詳細が固まった後、改めて決定して、対外的に公表する。資金余剰感が市場に一段と浸透している。ゼロ金利政策の継続により、市場では、殆どコストがかからない資金をいつでも調達できるという安心感が一段と定着している。
公開記事のポイント(1)
「ただ、この10月以降、銀行による普通社債の発行も見込まれており、金融機関の資金調達手段の多様化が一段と進展しつつあるので、この際、金融機関等取引先の債務全般について、これを日本銀行の適格担保・オペ対象とすべきか否かにつき、再検討を行う必要があると考えられる。」
日本銀行 (1999) 9月21日開催分 より引用 (閲覧日時:2024-07-07 14:35:52)
公開記事のポイント(2)
「これらの点に鑑みれば、この際、取引先金融機関の債務については、原則として日本銀行の適格担保・オペ対象としない扱いとすることが適当と考えられる。」
日本銀行 (1999) 9月21日開催分 より引用 (閲覧日時:2024-07-07 14:35:52)
公開記事のポイント(3)
「ただし、当分の間は、社債等を担保とする手形買入における担保としてのみ受入れることとし、詳細が固まり次第改めて決定の上、対外公表を行うこととしたい。」
日本銀行 (1999) 9月21日開催分 より引用 (閲覧日時:2024-07-07 14:35:52)
公開記事の解説
上述した問題設定に対して、解決策を分析してみましょう。
問題設定(1):日本銀行が、銀行の普通社債借り入れの適格担保・オペ対象とすることについて再考すべき理由は何か。
日本銀行は、銀行が発行する普通社債を適格担保・オペ対象とすることについて再考すべき理由があります。今後、銀行が普通社債を発行する機会が増えることが予想されるため、金融機関の資金調達手段の多様化が進展しています。このようなタイミングで、銀行が普通社債の借り入れ全般に対して日本銀行の適格担保・オペ対象とすべきかどうかについて再検討する必要があります。
この際、日本銀行は、取引先金融機関の債務を原則として日本銀行の適格担保・オペ対象としない扱いとすることが妥当と考えられます。これは、銀行による普通社債の発行が見込まれ、銀行の資金調達手段の多様化が進展していることから、取引先金融機関の債務を適格担保・オペ対象とすることによって、日本銀行の信用貸出に対する影響が過大となる可能性があるためです。
また、日本銀行は、社債等保証としての手形買入について、保証としてのみ受け入れることとする方針を示しています。これは、手形買入が慣行的に行われてきたことから、この方法によって、市場では殆どコストがかからない資金をいつでも調達できるという安心感が一段と定着していることからです。
したがって、日本銀行は、これらの点を考慮した上で、再検討を行う必要があると考えられます。
問題設定(2):銀行が取引先金融機関の債務を原則として日本銀行の適格担保・オペ対象としない扱いとすることは妥当か。
銀行が信用取引先金融機関の債務を日本銀行の適格担保や金融調節の対象として本質的に受け入れがたいものとして扱うことが適切かどうかについては、銀行債の発行による金融機関の資金調達源の多様化という最近の動向を踏まえると、妥当であると考えられます。
現時点での低金利政策は継続しており、その結果、市場での資金調達コストが事実上ゼロであるという感覚が深まっています。
問題設定(3):資金余剰感の浸透により、市場で殆どコストがかからない資金を調達できるという安心感が定着することによる市場への影響は何か。
これによって、企業は銀行からの借入や社債発行など、資金調達手段の選択肢が増えることになります。一方で、市場には安心感が浸透しているため、企業は長期的な投資や事業拡大など、将来的なビジネス展開に向けた資金調達に注力しやすくなります。また、銀行側にとっても、資金調達の選択肢が増えることにより、リスクを分散した運用が可能となるため、長期的な資産形成に役立つと考えられます。ただし、これらの効果は短期的なものではなく、長期的な視野で見る必要があります。
公開記事と関連するトレンドワード
トレンドワード(1):「企業」、「金融」
- 上図は、過去から現在までの日本銀行の公開記事で、「企業」、「金融」の組み合わせが発生する頻度を可視化した折れ線グラフです。
- 横軸が年月、縦軸が「企業」、「金融」の発生頻度を0-1の範囲で規格化した値になります。
主要なトレンド転換として、1999年5月、2009年5月、2009年12月にマイナス方向のトレンド転換を示しています。一方、1998年12月、2002年11月、2009年1月にプラス方向のトレンド転換を示しています。特に、今回の公開記事は1998年12月のトレンド転換と関連している模様です。
トレンドワード(2):「国際」、「商品」
- 上図は、過去から現在までの日本銀行の公開記事で、「国際」、「商品」の組み合わせが発生する頻度を可視化した折れ線グラフです。
- 横軸が年月、縦軸が「国際」、「商品」の発生頻度を0-1の範囲で規格化した値になります。
主要なトレンド転換として、2009年1月、2011年6月にマイナス方向のトレンド転換を示しています。一方、2006年3月、2008年9月、2011年2月にプラス方向のトレンド転換を示しています。特に、今回の公開記事は2011年02月のトレンド転換と関連している模様です。
トレンドワード(3):「商品」、「市況」
- 上図は、過去から現在までの日本銀行の公開記事で、「商品」、「市況」の組み合わせが発生する頻度を可視化した折れ線グラフです。
- 横軸が年月、縦軸が「商品」、「市況」の発生頻度を0-1の範囲で規格化した値になります。
主要なトレンド転換として、2004年7月、2009年1月、2011年7月にマイナス方向のトレンド転換を示しています。一方、2004年3月、2008年6月、2011年2月にプラス方向のトレンド転換を示しています。特に、今回の公開記事は2011年02月のトレンド転換と関連している模様です。
ソーシャルメディアの主な反応
取引先金融機関の債務がオペ対象となると、金融機関から債務が返済されることを日本銀行が期待して、金融機関の利用が拡大するかもしれないと思うんですが。
そうですね。そのために、日本銀行は、適格担保・オペ対象としない方針をとることが必要だと考えます。
そうですね。取引先金融機関の債務は、原則として日本銀行の適格担保・オペ対象としない方針をとることが必要ですね。