公開情報の項目
組織名
- 日本銀行
公開日
- 2023年3月15日
公開記事
- 「1月17、18日開催分 」
公開記事の問題設定
- なぜ、逆イールドが強まるなどの局面が見られたのにもかかわらず、現在順イールの傾向が強まっているのか?
- 金利曲線の形状が変化した影響で、国債買入れの影響はどのように変わったのか?
- 今後の運用方針に変化が生じる可能性はあるのか?
公開記事の概要
前回会合で決定された長短金利操作の運用方針に従い、毎営業日に10年物国債を対象とした固定利上り方式による国債買入れを行っている。以前の会合からの金利曲線の形状を分析すると、その後、一部の逆イールドが強まるなどの局面も見られた。しかし、現在、引き続き順イールの傾向が強まっている。
公開記事のポイント(1)
「また、前回会合で決定された長短金利操作の運用方針に従って、10年物国債を対象とする0.5%の利回りでの固定利回り方式による国債買入れ(指値オペ)を毎営業日実施した。」
日本銀行 (2023) 1月17、18日開催分 より引用 (閲覧日時:2024-07-15 08:44:49)
公開記事のポイント(2)
「前回会合以降のイールドカーブの形状をみると、歪みが縮小に向かう局面もみられたものの、足もと、一部で逆イールドが強まるなど、引き続き、歪みが観察されている。」
日本銀行 (2023) 1月17、18日開催分 より引用 (閲覧日時:2024-07-15 08:44:49)
公開記事のポイント(3)
「このほか、チーペスト銘柄を対象とする指値オペを毎営業日実施した。」
日本銀行 (2023) 1月17、18日開催分 より引用 (閲覧日時:2024-07-15 08:44:49)
公開記事の解説
上述した問題設定に対して、解決策を分析してみましょう。
問題設定(1):なぜ、逆イールドが強まるなどの局面が見られたのにもかかわらず、現在順イールの傾向が強まっているのか?
この問題については、日銀の政策目標や市場の反応に関するいくつかの要因が考えられます。まず、日銀は2021年4月から、金融緩和政策によって生じた過剰流動性に対応するため、長期金利の上昇を抑制するための新たな政策手段として、国債買入れの規模を拡大することにより、金利の上昇を抑制しています。したがって、逆イールドが強まったとしても、日銀は国債買入れの規模を拡大して金利上昇を抑制することができるため、現在は順イールの傾向が強まっていると考えられます。
また、国債の需給バランスについても影響を与える可能性があります。株式市場が上昇し、国債の利回りが相対的に高くなったことにより、国債需要が減少し、その結果、長期金利の上昇が抑制され、現在は順イールの傾向が強まっていると考えられます。
以上のような要因がありますが、最終的には市場の反応に影響を与える要因が複雑に絡み合い、このような局面が生じていると考えられます。
問題設定(2):金利曲線の形状が変化した影響で、国債買入れの影響はどのように変わったのか?
金利曲線の形状が変化したことにより、日銀による国債買入れの影響が変わってきます。逆イールドが強まった局面では、短期金利の上昇に対して、長期金利の上昇が遅れるため、日銀による国債買入れが効果的に機能しなくなります。一方、現在は順イールの傾向が強まっているため、短期金利の上昇に対して、長期金利の上昇が早まる傾向にあります。このため、日銀による国債買入れの効果が強まることになります。したがって、金利曲線の形状が変化したことにより、国債買入れの影響は影響力を強める方向に変わったと言えます。
問題設定(3):今後の運用方針に変化が生じる可能性はあるのか?
前回会合で決定された長短金利操作の運用方針に従い、毎営業日に10年物国債を対象とした固定利上り方式による国債買入れを行っています。前回の会合から、金利曲線の形状に一部の逆イールドが強まるなどの局面がありましたが、現在、引き続き順イールドの傾向が強まっています。この状況を考慮すると、今後の運用方針に変化が生じる可能性は低いと予想されます。ただし、将来的にどのような情勢変化が生じるかは不確定要素が多いため、注意深く監視していく必要があるでしょう。
公開記事と関連するトレンドワード
トレンドワード(1):「企業」、「資金」
- 上図は、過去から現在までの日本銀行の公開記事で、「企業」、「資金」の組み合わせが発生する頻度を可視化した折れ線グラフです。
- 横軸が年月、縦軸が「企業」、「資金」の発生頻度を0-1の範囲で規格化した値になります。
主要なトレンド転換として、2015年12月、2016年1月、2021年2月にマイナス方向のトレンド転換を示しています。一方、2008年12月、2009年1月、2020年5月にプラス方向のトレンド転換を示しています。特に、今回の公開記事は2020年05月のトレンド転換と関連している模様です。
トレンドワード(2):「わが国」、「金融」
- 上図は、過去から現在までの日本銀行の公開記事で、「わが国」、「金融」の組み合わせが発生する頻度を可視化した折れ線グラフです。
- 横軸が年月、縦軸が「わが国」、「金融」の発生頻度を0-1の範囲で規格化した値になります。
主要なトレンド転換として、2008年11月にプラス方向のトレンド転換を示しています。特に、今回の公開記事は2008年11月のトレンド転換と関連している模様です。
トレンドワード(3):「金融」、「環境」
- 上図は、過去から現在までの日本銀行の公開記事で、「金融」、「環境」の組み合わせが発生する頻度を可視化した折れ線グラフです。
- 横軸が年月、縦軸が「金融」、「環境」の発生頻度を0-1の範囲で規格化した値になります。
トレンド転換となる変化点は見当たりません。